経済政策の羅針盤

経済もしくは経済学について勉強していきます。

反緊縮のバラマークキャンペーン、与党を除外するのは不公平ではないか

rosemark.jp薔薇マークキャンペーンという、「反緊縮の経済政策」を唱える政治家に対して薔薇マークを認定し、応援していくというキャンペーンのようです。上記のホームページではこのようなことが書かれています。

日本では今、職を失う不安、パワハラ、「サービス残業」、介護や育児の負担、賃下げなどで、5割を超える人が「生活が苦しい」と答えています。私たちは、こうした中でおこなわれる2019年4月の統一地方選挙と7月の参議院選挙で、99%の人々の生活を底上げする「反緊縮の経済政策」を掲げるよう、立候補予定者に呼びかけます。そして、これに合致した経済政策を掲げた立候補予定者を、政党を問わず「薔薇マーク」に認定し、生活の改善、生活不安の解消を切望する多くの人々の投票の参考にしてもらおうと思います。

 ですがTwitterの公式アカウントでこのようなやりとりが公開されています。

私自身も緊縮財政ではなく、金融緩和・積極財政を行うべきだと考えているため、このキャンペーンそのものについては賛同します。しかし、「反緊縮の経済政策」は上記のツイートが示している通り与野党や左右は関係ない問題のはずです。ですので、理由が乏しいからといって政治家を差別するのは、この運動の公平性に問題をきたす可能性があるということです。

さらに、薔薇マークが認定された議員が仮に緊縮を支持するような発言をした場合、薔薇マークを取り上げることで圧力をかけることもできるはずです。なにはともあれ、このような運動は公平に取り扱ったほうが、運動として機能すると思います。

 

 

 

日本には日本列島を改造する余裕はない

www.yomiuri.co.jp

北海道新幹線の最高速度を140kmから160kmに引き上げることで、東京から函館までの時間を4時間以内に抑えることで、飛行機に乗る乗客を新幹線に呼び戻す計画のようです。

私見を申し上げると最高速度を引き上げたところで函館から東京までで45,000円以上かかる時点で、この計画は破綻していると考えます。さらに、函館から札幌までの特急列車に乗ると合計で60,000円以上かかる計算になります。東京から札幌までを航空機で移動した場合、20,000円を切る航空券もあり、2時間で移動することができるため、利用者が新幹線を利用するメリットは低いでしょう。

まだ札幌ー函館間のが開業しておりませんが、乗客数が増える見込みが立っておりません。

response.jp

さらにJR北海道が普通路線で赤字を拡大する中、北海道新幹線だけで100億円を突破する見込みになっています。なぜ企業が赤字を拡大するような事業を継続するのかというと、整備新幹線という国策が今も継続しているからです。

積極財政のための公共事業という側面があることは理解できますが、新幹線が負債になってしまった場合、経済に暗い影を落とすことになるでしょう。

デヴィット・スタックラー「経済政策で人は死ぬか?」

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策

 

世界各国の医療統計を公衆衛生学者が比較分析し、不況下において適切な経済政策を行うことが、国民の生死に左右するという厳然たる事実を突きつけた本が、「経済政策で人は死ぬか」です。

この本では、世界恐慌ソ連崩壊後の不況・アジア通貨危機サブプライム危機などの雇用統計を引用して、不況下で緊縮財政政策をおこない、さらに国の支出の中での医療費や社会保障費を削減した国では、死者数や自殺者数が増加したことを説明しています。

逆に、不況下でも社会保障費・医療費を削減しなかったり、景気対策を行った国では死者数や自殺者数に変化が無く、適切な経済政策を行うことが国民の命を救うという厳然たる事実を突きつけています。

 

社会保障費の削減や、緊縮財政がいかに人の生死に直結するか理解することができました。

最近読んだ経済学の本の中でもすばらしい本のひとつです。

待機児童問題を言葉遊びで挑発する杉田水脈氏

 自民党の議員のほとんどに言えることですが、日本の家族観が昭和時代で止まっているように見えます。現在は夫がサラリーマンで妻が専業主婦の核家族というのは少数になっていて、子育て世代である若年層世代のほどんどが共働きであることを知らないようです。

そのような世間知らずの杉田水脈氏へツイッターから様々なツッコミが入っています。

 杉田氏は以前に話題になった「保育園落ちた日本死ね」から始まる待機児童問題についても産経新聞の連載でこのように発言しています。

「『あなたよりも必要度の高い人がいた』というだけのこと。言い換えれば『あなたは必要度が低いので自分で何とかしなさい』ということなのです」

 そもそも安倍内閣では。野田聖子女性活躍推進大臣を任命してM字カーブの改善に力を入れていると言われています。M字カーブとは女性の年齢別の労働人口を描いたグラフのことです。25~40歳の子育て世代で労働人口が落ち込むことからそう言われています。

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第1-特-10図 女性の年齢階級別労働力率の世代による特徴 | 内閣府男女共同参画局

杉田水脈氏のこの発言は自らが崇拝する安倍首相の政策の足を引っ張るだけでしょう。日本の議会から杉田氏のような発言をする議員が無くなることを望みます。

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)

 

戦後最悪の経済不況の嵐が世界を吹き荒れるなか、対応が後手に回る日本。もはや金融崩壊どころではない。雇用の大崩壊が目前に迫っている。失業率が10%を超えると、いったい日本はどうなってしまうのか。働く人々の不安と希望の喪失という現状を描き出し、解消の道を探る緊急提言の書。

日本の完全失業率に信頼性がない理由として挙げられるのは、働こうという意思を持たない失業者は除外されることです。働こうという意思が持たない失業者を加えれば、完全失業率は2%上昇すると言われています。働くためのスキルがあり、高等教育を受けた労働者でも、働こうという意思がなければ、日本の完全失業率の中には入らないということです。この本はそのようなことを指摘しております。

この本の指摘しているのは、一つ目が日本に必要なことは失業保険を完備するなどの失業手当を充実させること。二つ目が納税者背番号制、今で言うマイナンバーによってセーフティネットを完備することなどを提言しています。

脱貧困の経済学

脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる

脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる

 

貧困に効くのは「経済学っぽい考え方」なんです。
反貧困運動の象徴・雨宮処凛がぶつける質問・疑問・要求に、若きエコノミスト飯田泰之がズバっと「経済学的に」答えます。
最低賃金規制でプレカリアートは幸せになるのか?
経済成長しないと毎年2%ずつ失業する?
派遣規制で貧困は止められるのか?
ベーシック・インカムは実現可能か?
再分配で不平等が拡大している?…など

この本が書かれた背景を説明すると、2008年にリーマンショックが起き、その影響で08年から09年に年末年始に東京の日比谷公園にて年越し派遣村が開設されたあとに書かれた本になります。そのため、貧困や格差を是正するためには具体的に何をすればいいのか、気鋭のエコノミスト飯田泰之に話を聞いた、というあらすじです。

この本はすでに出版されて10年前になりますが、内容は今でも必要とされている経済学の知識です。貧困を無くすためには、経済学はどのような処方箋が出せるのか、この本を通して経済学のエッセンスを垣間見ることが出来ます。

この本を読んでほしいのは、日本の比較的リベラルな考えを持つ人です。内田樹を初めとした左翼は経済成長を憎悪していますが、経済成長がないと貧困が拡大し、失業が増加することが本書に書かれています。そのため、内田樹アベノミクスのすべての政策を批判してしまい、良い経済政策でさえも批判し、結局経済について無知なままになっていると考えます。

そのような状態を解消することができるのが本書です。格差を是正するためにはどのようなことを政治に求めればいいのか、貧困と経済学について知りたい方は本書をお読みください。

日本の左翼は若年層を馬鹿にすればするほど若者から支持されなくなることを学んだ方がいい。

gendai.ismedia.jp

最近びっくりするのが総選挙から一段落してから、日本の左派から「安倍首相を支持する若者は馬鹿だ」という言説が流れていることです。

自民党が野党時代に発表した党憲法改正草案に明記された「国防軍」をとってみても、徴兵制は採られないとしても、兵力として期待されるのは若者だ。アベノミクスのもとで不安定な非正規雇用が拡大し、影響を被るかもしれない若者が、なぜ安倍自民党を支持するのか――。

筆者の松村愛氏も気づいてないのか、それとも気づいていないのにあえてスルーしているのかわかりませんが、若年層が政治に一番望むことは経済、特に自分たちの雇用については一番関心が高いといっていいでしょう。

筆者はアベノミクスのもとで不安定な非正規雇用が拡大していると断言していますが、そもそもアベノミクスが無かったら、その非正規雇用さえ無かったと思います。

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出典:アベノミクスが雇用改善に寄与した根拠 | 野口旭 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

民主党政権期の失業率低下は「労働供給が労働需要以上に縮小した」ことによっていたのに対して、アベノミクス期のそれは「労働需要が労働供給以上に拡大した」ことによるものであった。したがって、「失業率の低下は労働人口の減少によるものであって、需要の回復によるものではない」といった仮説は、民主党政権期の状況に対しては当てはまる可能性があったとしても、少なくともアベノミクス期に対してはまったく当てはまらないのである。

 野口氏を始めとした経済学者が述べている通り、安倍政権が始まってから労働需要が高くなりました。これによって有効求人倍率が高くなったのです。

しかしそれを認めず、若年層を小馬鹿にするようなことを書くブログもあります。

scopedog.hatenablog.com

これはまあ、歪んだ知識が溢れているネットと安倍政権に忖度するメディア情報の影響が大きいでしょうね。

失業率も自殺率も民主党政権時代に下がり始めていて、それ以前の小泉・安倍・福田・麻生政権時はもっとひどかったわけですから。

 このブログの筆者は歪んだ知識が溢れているネットの情報を鵜呑みにして「失業率も自殺率も民主党政権時代に下がり始めていて」と述べております。野口氏の記事を読めばわかりますが、それは間違いです。

まず日本の左翼は若者の関心事は経済や雇用であるということを深く認識しなければなりません。そして野党に自民党より魅力的な経済政策があるということを政策提言することが必要でしょう。

それさえも行わず、「若者はネットの情報を鵜呑みにする」と胡座をかいていては、少ない支持さえもなくなってしまうでしょう。